管理会計と英語 -マネジメントに伝えるための会計英語

この記事は企業の担当者の方より、リクエストをいただいたので書いてみることにしました。

cat dollars

本記事はこういう方におすすめです:

・英語力中~上級(TOEIC700点位~)

・留学経験(海外の大学でのMBA取得など)はあるけど、話すのは実は苦手

・英語を読むのはわりと得意

・企業で経理や経営企画など数字を扱う部門に属していて、外国の本社等のマネジメントにレポーティングをする必要性があるのだが、細かい勘定科目より、重要なこと、優先度を加味して的確に伝える方法を知りたい、またその上で必要なことを議論したい

or

・外資系の会社で、数値管理をする直属の上司が外国人であるため、英語で日々の報告を行っている

会計英語に関する書籍は沢山販売されているのですが、勘定科目なども名詞を扱ったものが非常に多いわりには、どのように会計事象を伝えるか、というものにフォーカスした日本語の本はなかなか見当たりません。

しかも、財務会計ではなく*管理会計となると、なおさら見つけるのが難しくなります。

※ちなみに管理会計とは、企業内部の経営者や管理者層が見る会計情報であり、経営管理者の意思決定や組織内部の業績測定・業績評価に役立てるものです。一方財務会計とは、会計原則に則った財務諸表を中心に、企業外部の利害関係者(株主、債権者、徴税当局など)に対して会計情報を提供することを目的とする会計です。

でも逆に…英語の本から、使えるフレーズをピックアップしてくるとなると話はずっと簡単になります。

例えばこの本、Financial intelligence (Karen Berman and Joseph Knight, Harvard business review press, 2013 ) はいくつかの企業で英語研修の副読本として使ったりしているのですが、

https://amzn.to/2BkDwT6

全体的なコンセプトとして、「財務諸表の数字をいかに経理担当者だけのものではなく、マネジメント(ここでは、便宜上トップマネジメントだけではなく、現場レベルの管理者も含む。以下同様) のためのものにするか」というものがあり、伝え方から、伝えるものの選び方まで、それはそれは、役に立つフレーズや構文が満載です。

各チャプターはそれぞれ、PL、BSの数字、財務指標などの項目が並んでいるのですが、

それらをテーマとして、マネジメントが何を、何故見たいのか、という考察が平易な言葉で記されています。

そう、平易な言葉というのがポイントで…学術書のような話し方を普段の会議でするわけにはいきませんからね。そういった意味でもこういった本は使えると。

8. Costs and Expenses: No Hard and fast rules

を少しまとめながら引用します(原文は英語のみです。また、下記日本語は直訳ではなくまとめです)。

For example, Coca-Cola shows the following expenses in its public GAAP income statement

コカ・コーラ社がGAAPに則った損益計算書で下記の情報等を共有しています:

 • Cost of goods sold   販売原価

• Selling, general, and administrative 販売費及び一般管理費 

• Other operating charges  その他の営業費用

• Interest expense 支払利息

• Income taxes 法人税等

All well and good, but would these categories really help a manager run her unit?

いずれも問題なくよいようだけれど、部門のマネージャーが、各々の部署を運営するのに本当に必要な情報でしょうか。

We aren’t privy to Coca-Cola’s internal income statements, but here are a few of the categories we suspect many managers (both of the parent corporation and the bottling units) would need to understand.

内情に精通しているわけではないけれど、多くのマネージャーが(本社かボトリングユニットかを問わず)必要とするのは…

They would want to know, for instance,

こういうものでしょう、例えば

how much they were spending on:

以下のものにどれだけ費やしているか

• Each ingredient used to make the beverages, broken down by beverage

飲料別に、飲料製造にかかる、各材料費の額

• All the costs related to delivering the product, in sufficient detail so that the costs could be managed

商品の配送にかかる費用、費用が管理できるほどの詳細

• Departmental costs, such as accounting, human resources, IT,and so on

会計、人事、ITといった管理部門の費用

• Sales and marketing costs broken down by product, advertising campaign, and more

商品別の営業およびマーケティング費用、広告キャンペーン等

最後は税に関することが示されています。

Finally, some companies share what they reported to the government on their tax returns. These numbers are probably the farthest away from what is useful to a manager. Tax returns follow tax rules, which are not the same as GAAP rules. The returns were probably prepared by tax accountants, a subspecialty of the profession. So tax returns look different from conventional financial statements. It isn’t fraud, it’s just different ways of looking at the same reality.

税務申告で当局に提出する数字は、部門のマネージャーにとって、使い勝手という点では、一番遠い数字だと。

部門にもよるのと、トップマネジメントにおいてはそう(税効果を加味しない)は言っていられないというのを除くと、真理と言える部分もあるかもしれない、と思います。(また、レポートの書面はテンプレートがあったり、PPTで習慣的にさらうのは決まっている、というのはあるかと思いますが、今回この話では除外します)

expenseとする項目の細かさだったり、伝え方というのは、レポーティングの担当者が

よく悩まれるところなのではないでしょうか。

一番最後は、これは詐欺ではなく、同じ現実の異なる見方だ、としめていますね。

これはあくまでも管理会計の本である…ということは強調しておきたいと思いますが(財務会計の本で同じことを言うなら、それは時としてwindow dressing (粉飾決算)となってしまう)笑。

ここまで見てきただけでも、大きく分けて二種類のことを学んでいくことができます。

まず一つ目はロジックの明瞭さ。

財務会計の項目と管理会計で必要となるような点を並べて、その理由を説明している。

端的に言いたいことを提示して、その具体例、ということを繰り返し、英語のロジックを守っていることからとても読みやすい(聞いていても、聞きやすい)。

次に、フレーズ。

“Coca cola shows~”  コカコーラ社は~ということを示している

といったシンプルな言い方はプレゼンや会議などでとても便利ですが、意外ときれいに使えている人は少ないです(特に無生物主語、This chart shows~などになった場合)。

“We aren’t privy to Coca-Cola’s internal income statements, but here are a few of the categories we suspect~”

内部の損益計算書に精通しているわけではないけれど、我々が考える、カテゴリーのいくつかは…

という部分も、自分の立場を語った上で、想定されるものをあげているということで、いいフレーズですね(自分がレポーティングの担当者であれば、詳しいはずなので、もちろんそのままnot privy to~を使えませんが笑 あと、suspectという単語も中から見た場合にはそぐわないので、thinkとかassumeを使う必要はありますね)。

会議などを聞いていると、結構話が唐突すぎる人が多い気がします。自分の立場や状況を語った上で、事実から想定されることや意見などを言えるようになると、ロジックも明確になり、すっきりしますね。大きな流れとして英語のロジック(generic→specific)があった上で、その下のパラグラフや一つ一つのセンテンスにおいて、こういうつなぎ的な言葉を使えるようになると、その部分の自身のスタンスがはっきりして、聞きやすくなります。

あと、具体的に例を並べる前に、それがいくつあるのかとか、何についてなのか、明確に述べるのはいいですね。

こういうのは、これ使えそうだな、と思って読んで、覚えて、会話で使いながら自分のものにしちゃいましょう。

この本はこれ意外にも面白い項目が沢山あり、部門マネージャー、それからトップマネジメントへの報告にも、参考になるような事柄が沢山掲載されています。マネジメントの報告という点では、materiality (重要性)も大切になってくると思います。これをどのようにpresentationしていくのか。こういった点からもぜひ研究されてみてください。

いかがでしたでしょうか。この本をこのように注意深く読んでいくだけでも、英語のロジックやフレーズを身に着けたりするのに有効ですし、あとはそれを使ってみる実践の機会を増やすといいですね。

失敗できない重要なプレゼンの場で初めて使ってみるというのではなくて…業界に精通しているネイティブの友人とか、そういった人がいなければ、会計英語の研修やレッスンを提供しているところに頼むというのも、一つの手かもしれませんね。

どういう形であれ、フィードバックしてくれる存在というのは語学には大切です。

―え、ちょっとそれニュアンスが違うんじゃない?

―意味はわかるけど、そんな言い方はしないなあ。

―それ、ちょっと不躾すぎるよ。

そんな細かいフィードバックをくれる人が上司でも、友人でもいたなら、会計英語のスピーキング力は飛躍的に向上するでしょう。

本日は以上です。

さくらランゲージインスティテュート

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代表 上田怜奈

お仕事のご依頼は下記のホームページお問合せからお気軽に。

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