通訳学校時代の話(番外編)努力の効用-The fringe benefits of effort(?)

cat studying

本日もお読みくださり、ありがとうございます。

研修翻訳・国際ビジネスの言語支援をする事務所、さくらランゲージインスティテュート代表上田怜奈です。

研修の後に、通訳の仕事に就きたいんですけど…勉強や就く方法はどうしたら、と質問に来てくださった方の回答として書いた記事は毎回、連日3ケタのビュー数を獲得し、前回でシリーズとしては完結したものの、これに関連し、いつか合わせて絶対お話したいなあ~と思っていたことを、番外編として書いてみることにしました。

努力の効用、というタイトルですが、これは人に努力を強いたり強く勧めたりするものでもなく、客観的に、仕事としたときの語学と努力にどんな関連性があるか、ということについて、私の立場から見えたものを書く、というものです。

まず、この努力の効用というタイトルは、私が好きな卒業式のスピーチ、ハリーポッターの著者であるJKローリングがハーバード大学で行ったもののタイトル、“The fringe benefits of failure”にインスピレーションを受けてつけました。彼女は「挫折」からどんなものを得たか、そんなことを語る、とても味わい深いスピーチです。(同様に、イギリス英語の発音の勉強にもなります)

私が大学四年生のとき、通訳学校のその期の最後の授業で、「先生はなぜ通訳の仕事と語学の勉強をここまで続けてこれたのか」という話題になりました。授業の最後の最後です。

その時先生がおっしゃった言葉は、今も心の隅に残っています。

「通訳学校には、自分よりずっとずっと優秀な人が多くいたし、私は覚えだって、とっても悪かった。だから、練習して、すぐにできることなんてなくて、人一倍勉強や練習が必要だった。でも不思議なことに、周りの優秀な人たちはいつの間にか、一人また一人と、勉強だったり、仕事を辞めていった。たまたま自分は、最後まで諦めが悪く、そう、好きな気持ちを諦めきれずに、今まで続けてきただけなんです。」

日本には職業選択の自由があるし、そもそも時間の使い方なんて個人の自由だから、人が新しい世界に移っていくのは、私は悪いともなんとも思わない。

ただ、先生の言われたこの言葉を自分なりに深く考えてみると…通訳を含め語学のプロフェッショナルで、人に提案ができるくらいのスキルを持った人は、ただ事務処理能力の高さというよりは、長くそれを愛して、蓄積してきた経験があるかな…と、頭に色々な人を思い浮かべながら、そう思いました。

最近、とある企業のマネージャーの方とお話していて、最近の若い人は、近道を探しすぎる、効率性を求めすぎる、という言葉を聞きました。下積みだったり、手を動かすことで得られるものもあるのに、と…。

私はこの話を聞いたときに、とある弁護士事務所を経営している人が、AIやその他機械化によって、若手弁護士が判例を自分で探すという過程をたどらなくなってしまうのは、損失だ、と言っていたことを思い出しました。

確かに、私も会計事務所で、レポートを書いたりするのに実際に米国税法の規則の条文を一つ一つ探したことによって、見えてきた仕組みや、論点もあるし…

語学について直接的にいえば、習得するのに要した手間や難しく感じた経験は、そのまま、語学学習者や、ある言語を解さない人への想像力につながります(つなげることができます)。そしてその想像力が、既存の問題にクリエイティブな解決策を提示するコアとなったり。

例えば商談などで、文化的な背景や言語の構造の違いで誤解が生じているときに、割り入ってあるいは事前のブリーフィングで解説することにより、対応する通訳の人がいたり、

他社で行った翻訳が何かおかしいということで見てみたら、一見表面的にはうまく訳されているようでも、その構造の特性から、中国人の人たちに英語から日本語の翻訳を任せていた(※翻訳業界では、翻訳された後の方の言語のネイティブ翻訳者に任せるのが通常)、だから細かい部分で誤解が生じていた、ということを見抜いたということがあったり(これは言語学の知識も合わせて功を奏したケース)。

言語習得にかけた労力が、後から仕事への付加価値となってpayした、という例は枚挙にいとまがありません。

また、語学の分野でも、泥臭い努力が必要なことは敬遠されがちで、人々の中で実際の価値よりも、評価が低く設定されることがあります。

例えば、英検1級に出てくる語彙なども、こんなの普段使わない、などど揶揄される対象になることがあります。

しかし、

・意外とeconomistやnewsweekのような雑誌の紙面では見受けられること

・難しい言葉を覚えるとき、接頭辞・接尾辞の知識を活用するので、それがその後役に立つ

といった利点があります。

例えば、この試験の語彙の学習中に覚えたものに、

mal(悪い、悪性の、といった意味)

という接頭辞がありましたが(※辞書によっては、連結形と分類される。接頭辞よりも単語としての独立性が高いため)、

これは、

malignant (形)   悪意のある、(病気が)悪性の

から、

malfunction (名) 機能不全

まで、多くの単語を覚えるのに役立ちました。

さらにこれには続きがあって、

いまフランス語を勉強中なのですが(5年計画ののんびりペースですが…)、

pas mal (悪くない)

という会話でよく使うフレーズを覚えるのにも、役立ちました!

 

C’est pas mal! 悪くないでしょ?

 

最後のはおまけですが…(笑)

 

みなさんから、努力の効用に関する、素敵な、オリジナルのストーリーがお伺いできることを楽しみにしています。

本日は以上です。

さくらランゲージインスティテュート

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代表 上田怜奈

お仕事のご依頼は下記のホームページお問合せからお気軽に。

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